猫に監視されている。

午前三時でございます。
家に食べるものが何もないので外に出たいのですが、奴に監視されているため、動けません。

奴は、僕が玄関のドアを開けるその瞬間をじっと待っているのです。
そんなに外が好きかよ。
危険だらけなのにさ。

以前はカニカマをあげて気を逸らし、隙を見て家を出ていたのですが、近頃その手が通用しなくなってきました。
カニカマよりも、外への興味の方が勝るようなのです。

奴は最近、カニカマ食べてる途中でも、ドアを開ければハッと顔を上げます。
額の上に「!?」を飛ばしたかと思うと、「こんなものいらぬわ」とばかりにカニカマを捨て置き、玄関へと駆けてくるのです。

全力で向かってくる猫の姿に、玄関先の僕も、頭の上に「!?」と出るってなもんです。
慌てて外に出てドアを閉めると、ずっと「ニャアニャア」騒ぎ立てる。
もの悲しい鳴き声を、ご近所に響き渡らせるのさ。

昼間ならまだしも、午前三時だぞ……。
やめてよ外出られないんだけど。


さっきやっと眠ったかと思って、こっそり財布をポケットに入れたところ、その蚊の鳴くような微音すら察知し、猫タワーを下りてきよるのですよ。
〝財布持つ者は外への扉を開く〟ってバレてるんですかね。
お前、いつからそんなに賢くなったんだ……。

カニカマに飽きたのかと思い、ささみとか猫缶とか、いろいろ買って試してみましたが、やっぱりすぐに走ってくる。
マタタビぺろぺろご満悦で舐めてる最中でも、ドア開ければロケットのように飛んでくるんだ。
その尻を掴んで外へ出すものかと引きずりながら、僕はもう、泣きそうでございますよ。

もう頼むいい加減にしてくれ。腹減ったんだ。
冷蔵庫を開けても残ってるのは、ささみとか猫缶とか……食えるか!
なんで奴の食べ物の方が充実してんだ……!


僕は他の猫を知らないので、猫って玄関から飛び出すものだと思っていました。
飼い主はみんな、カニカマ放って逃げるように家を出るものだと……。
けど後輩の猫はそうじゃないみたいだし、ヤフーの知恵袋じゃあ、そんなうちの猫に困ってますって投稿があるし。

やっぱ違うんだ。
俺はなんだ、ラプンツェルでも飼ってたのか。
「外に出たいの」と悲しそうに鳴きやがると、こちらも少々の罪悪感を覚えるのでございます。
けどさ、閉じ込めた魔女の方に感情移入するんだ。
「外は危険なんだ。お前を護っているんだ。なのに私を悪者にしたいのかい?」ってなもんよ。
悪者でいいよもう、今日なんも食ってねーんだぞちくしょーう。

動けないので仕方なく、ラプンツェルが再び眠りにつくまでブログでも書こ、と書いてるわけです。

でもねほら。
まだ見てる。

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何それ物見やぐら?
もう四時じゃん。さっさと寝ろおお。
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